1986年『シルヴァー・ミサイルズ・アンド・ナイチンゲールス』Silver Missiles and Nightingales / The Suicide Twins(スーサイド・トゥインズ)
アンディ・マッコイ(Andy McCoy)& ナスティ・スーサイド(Nasty Suicide)がハノイ・ロックス解散後、最初に始動させたプライベートユニット で活動時期(楽曲制作や録音)なども チェリー・ボムズ(The Cherry Bombz)とおそらく被っていたと思われる1985年ごろ。
翌1986年にリリースでLP盤はフィンランド、日本以外にもUK、US盤があるのでヒットはせずとも広く出回ったのではないでしょうか。
CDは1989年になってからあらためてリリースされました。(写真は日本盤)
タイトルになってる Silver Missiles and Nightingales はハノイの5枚目のアルバムタイトルにする予定だったようですが、結局そちらはご存知の通り Two Steps From The Move に替わったらしい。
ハノイの最後のメンバーでのセッションとも時期が近いので Silver Missiles and Nightingales に少し似ている原曲と思われるものが、ハノイ解散後の1992年のベスト&レア集 - リーン・オン・ミー(Lean On Me)に Menaced by Nightingales というタイトルで収録されています。アコギもしくはエレキギターのクリーントーンなどが中心のアレンジ、ドラムやパーカッションなども入っていますが全編通してアコースティックの楽曲で構成。すべてアンディの楽曲らしいですが、Sweet Pretending、Heaven Made You は チェリー・ボムズに同時期に参加する デイヴ・トレガンナ(Dave Tregunna)との共作クレジットになっています。
デイヴは2曲目 Heaven Made You にもベースで参加。
Sweet Pretending と7曲目の Coming Down Slow は チェリー・ボムズ のライブアルバムでもセットリストに入っています。
The Suicide Twins - Sweet Pretending - 1986 - Remastered Video + Lyrics
ミュージックビデオは Sweet Pretending のみ存在するようですが、これは母国フィンランドでのTV番組でオンエアされたものがベースなのか低画質の物しか今まで見たことがありません。編集されたものもありますがベースが同じ映像なのではないでしょうか?
この曲には解散間際にハノイのベーシストで、未発表デモ曲ではソングライティングもしていた ルネ・バーグ(René Berg)もリードボーカルでクレジットがあります。
最初に書いた Silver Missiles and Nightingales の原曲ぽいハノイの Menaced by Nightingales はアンディの1992年のバンド Shooting Gallery(シューティング・ギャラリー)でも改めて取り上げようとしていたみたいですが、結局またデモどまりでアルバムには収録されませんでした。
Shooting Gallery (Demos 1991) - Menaced by Nightingales
アンディ自体はSilver Missiles and Nightingales のほうを長いことライブで歌っていて、Menaced~のほうは正式リリースとななりませんでしたが、この曲はハノイよりシューティング・ギャラリーのほうがしっくりくる感じですね。
チェリー・ボムズの記事でもとりあげましたが、Declaration は オケは同じでボーカルのみ差し替え、この曲はチェリー・ボムズのヴォーカリスト アニタ・シェラマー(Anita Chellemah)との共作です。
アルバム最後の Countryfield Inner City Blues はここに収録のものと全く同じものが、なぜかチェリー・ボムズのEPにも収録されています。
いつも多いカバー曲がこのアルバムには無く、逆に The Best Is Yet to Come は のちに サマンサ・フォックス がカバーしていて原曲ともまた違う素晴らしい出来です。※アルバム Samantha Fox(1987)収録
ナスティもアンディ共にボーカルをとってますが、特にハノイでは裏方のイメージがあったナスティがこのアルバムでは思い切りの良い歌声を聴かせてくれます。
※ナスティはこのユニットではNasty SuicideでなくNasty Superstar 名義でクレジットされています。
このアルバムの10曲とチェリー・ボムズのスタジオレコーデイング曲9曲(1曲被りとバージョン違いがあるが)がほぼ同じような時期に録られていたと思うと、結構スタジオに籠ってコツコツやってたのかなと感心します。
アンディも湧き水のように楽曲が湧いて出ていた頃だったんだろうな。
ちなみにMTVアンプラグドが始まるのが1989年だしガンズのアコースティック曲を多く含むアルバム GN'Rライズ も1988年なので、このスタイルに関しては少し早かったというか先取りだったのか。