『Nights Are So Long』(1987)は、Michael Monroe(マイケル・モンロー)が、ハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)解散後にソロとなり最初にリリースしたアルバム
オリジナル曲が少なく、10曲中カバーが5曲、残りのうち2曲は元DEAD BOYS(デッドボーイズ)のギタリスト Jimmy Zero(ジミー・ゼロ)の提供曲、そして3曲しかマイケル自身の新曲が入っていませんでした。
しかも日本以外では母国のフィンランドのYahoo! Records からのリリースとあって、この2国以外ではほとんど流通していなかったと思われます。
このアルバムでギターにPhil Grande(フィル・グランデ)が参加していますが、これ以降のマイケルのソロでもちょくちょく参加していたギタリストですね。
モット・ザ・フープルの Ian Hunter(イアン・ハンター)もピアノで参加しています。
先に書いたジミー・ゼロ提供の2曲ですが、4曲目のバラード"It's A Lie"と6曲目のタイトルトラックでもある"Nights Are So Long"
この"Nights Are So Long"は同じ時期に再結成したDEAD BOYSも、同じ1987年にシングルB面で発表しているようです。
カバー曲の詳細ですが、1曲目の"She's No Angel"は、HEAVY METAL KIDSの『Kitsch』(1976)収録曲のカバーで、マイケルは2年後のメジャー作『Not Fakin' It 』でも同曲をもう一度カバーしています。
2曲目"Million Miles Away"は、デッドボーイズの Stiv Bators(スティーヴ・ベイターズ)のソロアルバム『Disconnected』(1980)からのカバーで、 ハノイ・ロックス時代のの同名曲とは別の曲です。
3曲目"Shake Some Action"は、アメリカのガレージロックバンド The Flamin' Groovies(フレイミン・グルーヴィーズ)の1976年の同名アルバム(邦題は『驚異のアクション』)収録曲。
5曲目"Highschool"はMC5のカバーで、1970年の『Back In The USA』収録です。
9曲目"You Can't Put Your Arms Around A Memory"は、Johnny Thunders(ジョニー・サンダース)の『SO ALONE』(1978年)収録曲カバー。
このようにマイケルが影響を受けたデッドボーイズやジョニー・サンダースなどのパンク・ロックやガレージロック系の楽曲を多く取り上げています。
旧友のラズルに捧げるアルバムということもあり、このような楽曲を取り上げたのかもしれません。
この当時最初の頃はこのアルバムは地味な感じがして(2枚目はノリがよく勢いがある楽曲が多いこともあり)あまり好きではありませんでしたが、聴きこむとこちらのほうが2作目よりも好きになってきました。
とはいえカバーが多いのでオリジナルアルバムと呼ぶにはためらうところもあります。
カバー曲は一度オリジナルを聴いてみると、カバーを取り上げた意味が何となく分かるような気がします。
近年ではこのCDは2004年にワーナーミュージックから再発されています。