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1995年『ビルディング・オン・トラディション』Building on Tradition / Andy McCoy(アンディ・マッコイ)

ビルディング・オン・トラディションは、当時 元ハノイ・ロックスの中心人物でギタリストの アンディ・マッコイがリリースした、純粋なソロとしては 1988年の1作目以来のセカンドアルバム。

自身が立ち上げたプロジェクトとしても短命に終わったバンド Shooting Gallery (1992) 以来となります。

この作品のリリースは日本盤、母国フィンランド盤、翌年リリースされたフランス盤がありそれぞれジャケットデザインが違います。
まずは日本盤ですがこちらはリリースが少し遅れましたが同じ1995年にAVEXから発売。

日本盤 AVCM-65008

じつは95年当時先にフィンランド盤の輸入仕様のものがディスクユニオンなどの店頭に入荷していたので輸入盤を先に購入しました。

日本盤はボーナストラックが2曲入っていて15曲目以降 Candle Burn't Down と Cheyenne (Part Two) になります。

Cheyenne に関しては ハノイ・ロックス のデビューアルバム Bangkok Shocks, Saigon Shakes (邦題は「白夜のバイオレンス」)に収録されていた人気曲 Cheyenne(涙のシャイアン)のサビだけ引用した別バージョンというか、おそらくリリースのある日本向けに追加で作られたアコースティックナンバーです。

フィンランド盤 AMTCD 2069
前作のソロ1作目 Too Much Ain't Enough は収録曲も10曲と少ない上にアコースティックナンバーやメロウな曲が半分を占めており、楽曲はもちろんアンディらしく素晴らしいものでしたが攻めるような曲が物足りないというか ライブで弾けるようなアンディの魅力 は少し薄い感じがありました。

allenkk.hateblo.jp

しかしこの Building on Tradition ではハードな冒頭の2曲をはじめその後も勢いのある曲が続き、ハノイ・ロックス~チェリー・ボムズ~シューティング・ギャラリー と続いていた活きのいいロックンロールがこれでもかとオンパレードの真骨頂。


Andy McCoy - Strung Out (+interview)

特にギターを中心にライブを意識したバンドアレンジの中にアンディらしい天才的なリフの連続攻撃!まさに「それを待っていました!」
願わくば花形ボーカリストを新たに用意した新バンドであればもっと良かったが、それでも当時はどんな形であれこういうアンディの楽曲を待ち望んでいた人も多いはず。

難を言うならアンディがボーカルをとるとルーズで酔っ払いが歌ってるような、カッコいいけどアルバム1枚通してだと少しだるい感じはあるかなと思います。
英語圏の人が聴くと発音が悪いという話もありましたが、自分の曲を自分で歌って何が悪い!という感じでしょうね。

ここまでハノイ時代のマイケル・モンロー(Michael Monroe) のようなアンディと同等に張り合えるキャラクターの強いボーカリストとの出会いが無かったようにも思いますし。

このアルバムに至るまでアンディ本人も飽き性なのか自分で立ち上げては自分が原因で消滅させたりと立ち上げるプロジェクトが長続きしませんでした。
何となくノリで始めて「やっぱりこれは失敗だった」という感じなのかな。
まあそこを含めてもカッコいいと思っていましたが。

このアルバムが発売された当時のマイケルのほうですが、1992年のエルサレム・スリム (Jerusalem Slim) 以降はベースのサム・ヤッファ(Sami Yaffa)と行動を共にしており、1994年にパンクバンドの デモリション・トゥエンティスリー(DEMOLITION 23) でアルバムを1枚リリース、さらにLIVEでは事故で参加できなかったギタリストに替わりナスティ・スーサイド(Nasty Suicide)が参加したりとマイケル側にハノイ残党が完全に集まっていましたが、こちらも最終的にサムとナスティがバンドを離れ自然消滅します。

こっちのアンディ側のアルバムには初期のハノイでドラムをたたいていたジップ・カジノが久々に復帰。

久しぶりに聴いた名前に「まだ居たのか」と少し驚きましたが、92~95年あたりはやたらと元ハノイのメンバーが慌ただしかった時期でした。
ジップの他にベースの ダン・ラガーステッド とアンディの嫁 アンジェラ・ニコレッティ(上の動画だとバッキングボーカルを担当)の2人を加えたバンドが LIVE AMMO というこのアルバムのプロジェクトバンドらしく、日本盤のライナーでも少しこのことに関して触れています。

CDジャケット裏面のクレジットによるとレコーディングでのそれぞれ担当楽器は、

ANDY McCOY all guitars, piano, keybeards, lead and backing vocals
the band, LIVE AMMO is
DAN LAGERSTEDT- bass, lead and backing vocals
GYP CASINO drums
ANGELA NICOLETTI -, lead and backing vocals, synthesizers


Andy Mccoy - Born Again Electric

本家フィンランド盤でもアルバムジャケットにはAndy McCoy とだけ書かれているので基本ソロアルバムという解釈で良いとは思いますが、バンドスタイルが功を奏してかなりハノイ路線の感じが1枚目と違い当時は嬉しかったです。

7曲目の Heartattack はハノイ・ロックスの未発表曲を含んだベスト盤 Lean On Me にデモテイクが収録されているので少なくても1985年には大体形になっていた曲。
1991年の シューティング・ギャラリー のアルバム用にもDEMOを録ってたようですが結局収録されず、遂にここで納得のいく形での収録となったようです。

それにしてもまさかこのあと2000年代に突入してアンディとマイケルでハノイの再結成があるとは思いませんでした。

かなり輸入盤聴きこんでから日本盤も入手しましたがボーナストラックに関しては特別必要な感じも無かったかなと思います。
それより Dreaming Of Japan といういかにも日本のファン向けに作ったのではないかと思われる曲がボーナストラックではなく通常盤にも入っているのが不思議です。

ハノイの再結成~解散を経て2019年には久しぶりとなるソロアルバム 21st Century Rocks をリリースしますが、Building on Traditionと同じような路線でそちらもいい感じ。

なぜか SpotifyiTunes Store にこの Building on Tradition だけ無くて紹介できないのが残念です。

Too Much Ain't Enough 、21st Century Rocks に加えてハノイ以前に活動していた Briard の再結成アルバム(Andy McCoy & Pete Malmi名義)はあるのですが。
Andy McCoy | Spotify

Building on Tradition / Andy McCoy (1995) 収録曲
  1. Strung Out
  2. I'm Gonna Roll You
  3. Born Again Electric
  4. She's Doing It With Lazers
  5. Unconditional Love
  6. Foxfield Junction
  7. Heartattack
  8. Love & Hate
  9. Dreaming Of Japan
  10. Let It Rock
  11. Italian Girl
  12. Gotta Let It Go
  13. Apache(The Shadows のカバー)
  14. Medieval Madras
  15. Candle Burn't Down ※日本盤のみボーナストラック
  16. Cheyenne (Part Two) ※日本盤のみボーナストラック

posted with カエレバ

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