ハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)解散後にソロとなった マイケル・モンロー(Michael Monroe)が、1990年頃ギタリストのスティーヴ・スティーヴンス(Steve Stevens)やハノイのベーシストだったサム・ヤッファ(Sami Yaffa)などと結成した幻のバンド、エルサレム・スリム1992年のアルバム日本盤です。
初回限定盤で同じデザインの外箱が付いていました。(帯にはマイケル・モンロー&エルサレム・スリムと表記)
このプロジェクトはマイケルがアルバム『Not Fakin' It』(1989年)をソロでメジャーヒットさせたあとの1990年頃始動しましたが、サウンド面で全権を握っていた相棒のギタリスト、スティーヴが突然の脱退。
これはモトリー・クルー(Mötley Crüe)を追い出されてしてソロプロジェクトを立ち上げたお騒がせ男 ヴィンス・ニール(Vince Neil) のバンドへの合流が原因で、まさに裏切るような形でバンドを空中分解させます。
むしろ始まってすらいないので途中放棄のような感じかもしれませんが、ちゃんとした契約とかないんですかね?
つまりこのアルバムに収録された曲は、レコーデイングがある程度終わった状態で放り出されたわけです。
日本ではマイケルの人気あやかりこのようにアルバムとしてリリースされましたが、このアルバム発売時はこのバンド自体すでに存在せず、当時のCDのフォーマットではここに収録された全9曲で作品が完結してるとは思えませんよね?
苦し紛れかデモ曲が2曲追加され11曲入りにはなっていますがどうにも中途半端。
しかもしばらくは当のマイケルが激おこ状態(当たり前ですね…)
日本でエルサレムのアルバムがリリースされ、すぐにマイケル・モンローバンドとして来日した際も、このアルバムの曲はプレイせず、以後自身のキャリアから除外したいものだとずっと思っていました。
しかし時が過ぎ最近見たマイケルの公式サイトでは、ディスコグラフィのなかにしっかりこのアルバムも入っており、どういった心境の変化かこれにはビックリです。
実はこのアルバムに収録されている曲自体はすごくいい曲ばかりで、ギターのプレイやアレンジも構築されていて個人的には好きな部類なんですが、一方でバンドのスタイルやプロデュースがマイケルには合っていないと意見も強く、あまり語られることも無い作品となっています。
ハノイの盟友サムもベーシストとしてクレジットされていますが、このアルバムでは3,7,8曲目と2つのデモ曲のみでのベースプレイとなっており、あとは俺様スティーヴのオーバーダビングとなっています。
まあギターのアレンジに関してしっかり組み立てられていて、天才スティーヴにしてみれば朝飯前の平凡なプレイなのかもしれませんが、様々なギミックがあり本当によく出来ています。
もう一人のメンバードラムのグレッグ・エリス(Greg Ellis )は9曲目以外で叩いていますが、デモ曲では(おそらく)リズムマシーンが使われておりその2曲ではプレイしていません。
レコーディングメンバー
マイケル・モンロー (Michael Monroe) - Vocals,Saxophone,Harmonica,Piano.Guitar
スティーヴ・スティーヴンス (Steve Stevens) - Guitar,Bass
サミ(サム)・ヤッファ(Sami Yaffa)- Bass
グレッグ・エリス(Greg Ellis) - Drums
外部のプロデュースが入っていないその2曲こそがこのアルバムで最もいい演奏という声もありますが、いずれにせよさっぱりバンドらしくないアルバムですね。
Jerusalem Slim - ST [full album, HQ, HD] hard rock (Steve Stevens)
7曲目 Teenage Nervous Breakdown はNazareth*1 (オリジナルはLittle Feat*2 ) のカバーで、あとはマイケルとスティーヴの共作なのかな?しっかりクレジットが無いので判りません。
でもほんとどの曲もワールドリリースされていないのがもったいないくらいの曲だと思うのですが。
特に後半6曲目 Lethal Underground、8曲目 Gotta Get A Hold あたりはハノイ・ロックスを思わせる雰囲気の楽曲ではないでしょうか?
この感じはヴィンスの 『Exposed』(エクスポーズド)のほうにはない日本人好みのメロディラインでマイケルの楽曲かなと思います。
日本以外ではドイツでもリリースがあるらしく海外盤には追加で1曲 Scum Lives On という楽曲が追加収録されています。
この曲はエルサレム・スリム消滅後の1994年にマイケルとサムが新たに立ち上げたバンド、 デモリション23(Demolition 23)のアルバムにも収録されおり、デモリションのほうはパンクスタイルのバンドということもありシンプルですが、スティーヴアレンジのほうはよりハードでテクニカルなギターソロなどもありマイケルのそれとはやはり違うテイストになっています。
ちなみにですけどスティーヴのヴィンス・ニールバンドへの参加は1枚で終わり、マイケルのデモリション23もアルバム1枚の短命に終わります。
ずいぶんとお騒がせですがスティーヴは短期間で2枚のアルバムで全権握りギター弾きまくり、ヴィンスのツアーでは世界を回りかなり稼いだのではないでしょうか?
その後ビリー・アイドルとのシングル Speed や日本の氷室京介のアルバム・ツアーの参加など、弾いても弾いてもネタの尽きないギターを聴かせてくれます。
Jerusalem Slim (1992) 日本盤 収録曲
- Rock n' Roll Degeneration
- Dead Man
- Attitude Adjustment
- Hundred Proof Love
- Criminal Instinct
- Lethal Underground
- Teenage Nervous Breakdown
- Gotta Get A Hold
- The World Is Watching
- Rock'N'Roll Degeneration (Demo)
- Teenage Nervous Breakdown (Demo)
2010年には 『Jerusalem Slim – Attitude Adjustment Demos』というレコーディング時のセッション音源が海外でCD-Rですがリリースされてるようです。
どうにもマニア向けですが今度入手したらまた書いてみたいと思います。
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